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そんな日々が五年ほど続いて、ヴィオレーヌは五歳になった。
赤子の頃に毎日毎日自分と向き合ったおかげか、一歳をすぎるころには自分の中に魔力らしいものを発見して、三歳になるころには、簡単な魔術が使えるようになっていた。
と言っても、風を起こしたりものを動かしたりするくらいのものであるが。
父はヴィオレーヌが魔術を覚えたことに頭を抱えて、何としてもやめさせようと躍起になったが、それを止めてくれたのは父の後妻である義母だった。
一度目の人生でもヴィオレーヌは義母ととても仲が良く、何かと味方になってくれた頼もしい存在だった。
義母は「もう覚えてしまったのですし、中途半端に禁止する方が危険ですよ」と父に助言してくれ、父は渋々ヴィオレーヌに魔術の勉強を許可してくれた。
しかしここで問題だったのは、ヴィオレーヌに流れる母の血だった。
母は本当にとんでもない魔術師だったようだ。
というのも、五歳を過ぎるころには、ヴィオレーヌは教育係としてついたモルディア国の魔術師よりも優れた魔術の使い手になってしまったのである。
もちろん、困ったのは父だ。
強すぎる力は危険なのである。
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