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まったく以て容赦がなく、毎日魔力が底をつくまで魔術の修行を続けさせた。
幼い子供になんて無茶をさせるんだと思わなくはなかったが、来る日のために力をつけておきたかったヴィオレーヌは黙って己の力を向上させることだけに時間を費やした。
八歳になったときに、魔術だけでは心もとない気がすると、父にお願いして剣の勉強もはじめた。
三歳年下の双子の弟が、剣術の勉強をはじめたと聞いたので一緒に教えてもらえるように頼んだのである。
危険だからと父は嫌がったが、これもまた義母が味方してくれた。
「今の時代、女性は守られるだけの存在ではありませんよ」
騎士団長の娘だった義母は、女性が剣術を学ぶことに肯定的で、渋る父をそう言ってやりこめてくれたのだ。
そして、ここでも、母が死に際に与えてくれたとんでもない加護が役立った。
ヴィオレーヌはどうやら身体能力が人よりも何倍も優れているらしい。
アルベルダは「文字通り、死期を悟ったエイヴリルが命をかけて与えた加護なんじゃろう」と苦笑した。
剣の腕もめきめきと上達したヴィオレーヌは、魔術、剣術に続いて、次は何をすべきかを考えた。
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