やり直し王女、夫の生殺与奪の権利を握る

13/24
前へ
/280ページ
次へ
 そして目を付けたのが「癒し」――すなわち「聖魔術」だった。  聖魔術は、魔術と名がつけられているが、アルベルダによると魔術とは似て非なるものらしい。  人の病や傷を癒すその力は非常に稀有な力で、モルディア国にもその使い手は一人しかいない。  その一人は現在神殿長をしているが、アルベルダとも知り合いだそうで、ものは試しにヴィオレーヌにその力が使えるかどうか見てやってほしいと言う申し出を快く引き受けてくれた。  アルベルダから、母が死に際にヴィオレーヌに加護を与えたことを訊いた神殿長は、もしかしたらと考えたらしい。  また、力が足りず母の命を救えなかったことを神殿長は今も悔やんでいて、もしもヴィオレーヌが母すら使えなかった聖魔術を使えるようになれば、きっと母も喜ぶだろうと思ったそうだ。  結果――ヴィオレーヌは聖魔法も操ることができ、魔術、剣術に加えて聖魔術の勉強もはじまった。  ヴィオレーヌの体を心配した父は、「一人で抱えすぎではないか?」とどれか一つに絞るように言ってきたけれど、何が何でも未来を改変したいヴィオレーヌは悠長なことを言っていられないのである。
/280ページ

最初のコメントを投稿しよう!

105人が本棚に入れています
本棚に追加