駆けつけてきた黒猫

27/33
前へ
/280ページ
次へ
 悟った顔をしたクラークは、けれどもそれ以上は何も言わずに、視線をダイニングの入口へ向けた。  ちょうどルーファスが入って来て、数分遅れでリアーヌが顔を出す。  しばらくすると国王夫妻が入室してきて、やはり最後にアラベラがやって来た。  パーティードレスのように大きく肩の開いた、目がチカチカするような派手な黄色のドレスに身を包んだアラベラは、ヴィオレーヌを見て、ふんっと顔を背ける。  昨夜、ルーファスがヴィオレーヌの部屋で過ごしたのを知っているのだろう。  食事が運ばれてくると、ヴィオレーヌはこっそり毒検知の魔術を使った後で口をつける。  しばらく食事を取りながら王と王妃がゆったりと会話をしているのに耳を傾けていたら、突然、ガチャン、と大きな音がした。  全員の視線が音のした方――アラベラへ向かう。  音は、アラベラがフォークを皿にたたきつけた音だったらしい。 (割れたらどうするのかしら?)
/280ページ

最初のコメントを投稿しよう!

107人が本棚に入れています
本棚に追加