北へ

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「可能なら、薬草の種を持って行ってほしいです。北の砦にもポーションは送られていると思いますけど、軍からの支給分で足りているのかわかりませんし、個別で補給しようにも現在の価格設定では充分な数は購入できないでしょう。兄から、状況によっては大銀貨五枚くらいまでに価格を抑えて販売してきてもいいとお達しを受けています」 「タダじゃないのね」 「当然です、商売ですから! ただし、国――つまり、殿下がその分のお金をあとで補填してくださるのなら、タダで配ることも想定しています」  ちゃっかりしてるなと思いつつ、一度無償で配ってしまったら、こちらにもよこせという声が上がるのだろうから仕方がないのかもしれない。国からの無償配布なら構わないが、スチュワートの商会が無償配布はできないのだ。 「わしのクッションも忘れるんじゃないぞぃ」 「師匠も一緒に行くんですか?」 「あたりまえじゃ。ヴィオレーヌがおらんと、わしの食事が出て来んかもしれんじゃろうが。わしはもう残飯生活に戻るのはいやなんじゃ」
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