北へ

6/29
123人が本棚に入れています
本棚に追加
/280ページ
「ハイポーションを作った後で、水で十倍くらいに希釈するんじゃ。それでもお前さんのは規格外じゃからな、どれほど強い効果が出るかはわからんが……。ついでにそれと普通のポーションを混ぜておけば、聖魔術を扱えんもの以外には普通のポーションにしか見えんはずじゃ。少し効力を高めたポーションとでも言っておけばよかろう」  適当すぎるが、確かに普通のポーションと混ぜてしまえば、聖魔術が使える人間が分析にかけない限り、ハイポーションが混ぜられていることには気がつかないだろう。  ポーションとハイポーションは、作り方が異なるのだ。 (大量に配るんじゃなくて、一部の人にお守りとして渡す分には問題ないかしら……?)  出発までまだ時間がある。ポーションを作る時間は充分だろう。 「ミランダ、ポーション用の空き瓶ってまだあったかしら?」 「ありますよ。……納品ですか⁉」  きらん、と瞳を輝かせたミランダには申し訳ないが、今から作るポーション――さしずめ、ポーション(改)といったところだろうか――を、市場に卸すつもりはない。 「ううん、持って行く分よ。少し瓶を分けてほしいのだけど」
/280ページ

最初のコメントを投稿しよう!