北へ

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「そのくらいはかまいませんよ。ヴィオレーヌ様のおかげで、兄もがっぽりって言っていましたからね」  親指と人差し指で丸を作って、ミランダが黒い笑みを浮かべる。まだ市場に卸してそれほどたっていないのに、ファーバー公爵家が販売しているポーションの半値とあって、飛ぶように売れているらしい。連日、店頭に並べた分は完売だと言っていた。  ミランダからポーションの空き瓶を十本ほどもらって、ヴィオレーヌはプランターに薬草の種をまいて魔術で成長を促進させた。  それから水に聖魔術をかけてハイポーションを作っていく。ハイポーションは回復魔術を水に溶かしたものなので、薬草は不要だ。  そのあと、さらにそれを水で十倍に希釈し、薬草を少し入れて、ローポーションを作る要領で薬草成分を抽出する。 (これでたぶん、大丈夫なはず……) 「どれ」  アルベルダが出来上がったポーション(改)を見て頷いた。 「まあいいじゃろう。見た目的には普通のポーションじゃ。……効果がどのくらいあるのかは試してみんとわからんが、普通のポーションの比ではなかろうて」 「え? どういうことですか⁉ さらに強力なポーションが⁉」
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