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何故こんな事態になっているのだろうかと考えても、はっきりしたことはわからなかった。
ただ、いくつか仮説を立てたときに、魔術師だった母の存在を思い出した。
貴族でありながら魔術の才に長けていた母は、父と結婚するまではモルディア国では他に並ぶものはいないと言わしめるほどの大魔術師だった。
そんな母は、ヴィオレーヌを生んですぐに命を落としたが、父によると、死ぬ前にヴィオレーヌに向かって自分ができる最大の加護を与えていたらしい。
命の灯が尽きる直前に、己の魔力を全部使った加護をヴィオレーヌに与えて、母はそのまま息を引き取ったと聞いたことがあった。
その加護がいったい何だったのかはついぞわからなかったのだが、もしかしたら、今のこの自分の状況がそれかもしれないと思い至った。
そうでなければ、死んで過去に戻るなんてありえないだろう。
(でもお母様、戻ったところで、この先、また同じことが起こるのよ)
そのたびにまた巻き戻るのだろうか。
さすがにそれは勘弁だと、ベビーベッドの上で「あぅあぅ」言いながら考えていたヴィオレーヌは、そこでハッとした。
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