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このままでは十八年後にヴィオレーヌは殺される。
けれども、まだ十八年あるのだ。
殺されないように力をつけることだって可能ではなかろうか。
十八年かけて死に物狂いで力を身に付け、あの日、死なずに生き延びる。
そうすればヴィオレーヌの死後に再び起こったかもしれない戦争だって回避できるだろう。
一番いいのはマグドネル国が起こす戦を回避することだが、さすがにそれは無理な気がした。自国のことならまだしも、相手は他国だ。
同盟国とはいえ小国であるモルディア国の発言にマグドネル国が耳を貸すとは思えなかったし、戦争に負けるからなどと言えば、逆にこちらに敵意や翻意ありと取られる可能性だってある。
ならばヴィオレーヌができることは、戦の回避ではなく、戦場で自国の兵士たちが死なないように守る力を身に着けることだ。
攻撃も守りも、とにかく得られる力はすべて手に入れて、十八年後に備える。
それしか、自分や家族、そして国民たちを守る方法はないのだ――
力をつけると言っても赤子の間は何もできないので、ヴィオレーヌは自分自身の力について考えてみることにした。
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