やり直し王女、夫の生殺与奪の権利を握る

8/24
前へ
/280ページ
次へ
 父は魔術の才能はからっきしだが、母が大魔術師だったのだ。ヴィオレーヌにも魔術が使えるかもしれない。 (魔術師は魔力がないと無理だって聞いたけど……、魔力ってなんなのかしら?)  魔力というのは正直よくわからない。  その正体が何なのかは、いまだに解明されていないからだ。  ただ、人の中には稀に魔力を持って生まれるものがいて、それらがその力を制御する術を学んで魔術師になる。  ベビーベッドの上で手足をばたばたさせながら考える。  母が生きていたら魔術についていろいろ聞けたのに、それができないなら仕方がない。  予定では父はこの二年後に後妻を娶るけれど、義母は魔術師ではなかったので、情報を得るのは不可能だ。  そして困ったことに、記憶通りだと、父は母がヴィオレーヌを生んで死んだのは、魔術師だったからだと思っている。  力の強い魔術師は、子を生む際に体に負荷がかかるのだとか、どこで仕入れてきた情報なのかは知らないが、父はそう信じていて、娘に母と同じ魔術師の道を歩ませようとはしなかった。  魔術に興味を持たないように、ヴィオレーヌの周りからは徹底して魔術師が排されていたのだ。
/280ページ

最初のコメントを投稿しよう!

105人が本棚に入れています
本棚に追加