初恋

2/8
前へ
/8ページ
次へ
休み時間や放課後になると、教室でいつも私の隣の席に座る秀明。 この二年半、いつも私の隣に座るけど、この男は私の彼氏ではない。 なぜなら、秀明は私の友達で海外モデル系美人の波美のことが好きなのだから。 これは私の勝手な憶測でも何でもなくて、秀明本人が私に恋の相談をしてきたのだから間違いのない事実。 「おまえ、波美と仲良いよな。オレもお近付きになりたいよなぁ」 高校に入ってすぐに秀明とは仲良くなった。 同じクラスとはいえ席は離れていたのに、人見知りという言葉なんてこの世界に存在しないかのように誰彼構わず、まるで同じ学校から来た友達であるかのように話しかける秀明と、気付けば仲良くなっていたという感じ。 そんな秀明でも、クールビューティな波美には気安く声を掛けられないのか、私と波美が一緒にいるところにさり気なく紛れ込んで、これまた気付いたら波美とも仲良くなっていた。 そもそも波美は、見た目に反してかなりフレンドリーだ。 波美とは中学時代から付き合いがある。とは言っても、通っている中学は別々だった。 私達は通っていた塾が一緒で知り合ったのだけど、私も最初はそのキリッとした見た目に臆してしまい、話しかけようとも思わなかった。 初めて話したのは、テストプリントの返却時に波美のプリントが間違えて手元に来たときで、その時にお互いの志望校が同じであることを知った。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加