初恋

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そう、波美の片想いはいわゆる両片想いと分類されるだろうもので、彼に全く興味が無いがゆえに曇りなき眼で見ることが出来る私に言わせてもらえるのならば、モテ男も波美だけを特別扱いしているのがよく分かる。 それでも本人達がお互い気付かずに友達関係でいる以上は、秀明にもまだ微かながらも波美の彼氏の座を手に入れる希望はあるだろうとも思うから、私は秀明の片思いを応援もしなければ止めもしない。 なんていうと、秀明の親しい友人の一人として私が暖かい目で秀明の片思いを見守っているように聞こえるかもしれないけれど、実際にはそんな暖かい友情物語ではなく、単に私が気楽に遊べる男友達を失うのが惜しいだけだったりもする。 その頃の私には、一応付き合っている彼氏が他校にいて、この彼氏がドン引きするくらい大変な焼きもちやきで、男友達どころか女友達と出掛けた日にも、どこで何して過ごしたのか、他に誰が一緒だったのかをうるさく問い詰められ、心底面倒くさい彼氏なのだが、何故だかそんな彼氏を嫌いになれなくて、子供を宥めすかすようにして彼氏の怒りを鎮め、その一方でまた男友達と遊びに出掛ける毎日だった。 そんなに彼氏が大事なら男友達とは縁を切ればいいのかも知れないが、男友達に関しては友達として手放すには惜しい逸材が多々いたし、女友達とは違う刺激があった。 男女の性差についてとやかく言うと、バイアスがどうとか、性差別だとか、性別の問題じゃなくて個体差だとか色々言われるようになってしまったけれど、私自身は性差で身体的部分や考え方、意識の違いみたいなものはあると思っている。 女同士で話していたら出てこない発想もあるし、男だから知ってる話もあれば、女だから話せることもある。 この先の未来ではそういう部分も差がなくなっていくのかもしれないけれど、私が生きている今はまだ、男女の間の差は根強く残っている。 それらをまず知って、受け止めて、できれば受け入れて、その先で差が無くせるものは無くしていけば良いんじゃないの?
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