初恋

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彼氏と別れた私は、それまで以上に自由気ままに遊べるようになったのに反して、秀明の方はようやくできた彼女がものすごい焼きもちだからと、それまでのようには会えなくなってしまった。 自分の元彼もドン引きするほどの焼きもちだった経験を持つ私は「そんなもんだよね」と、以前ほど頻繁に会えなくなったことに疑問も不満もなく、自然と秀明とは疎遠になっていった。 そんなふうに秀明と距離ができてしまった社会人になって4年目の冬、突然秀明から電話を貰った。 週末の22時過ぎ、いつものように楽しく呑んだ帰りならば日付を跨いでいるだろうに、珍しく残業になってしまった帰りでぐったり疲れていた私は、暖かい湯船に身体を早く沈めたいと帰路を急いでいたところだった。 ポケットの中のスマホが震えていることに気づいて液晶画面を確認すると、珍しく秀明の名前が表示されている。 「秀明?久しぶりじゃん。」 「よぉぅ〜元気にしてる〜?」 殆ど同時に言葉を発して、お互い大笑いする。 「俺さぁ、結婚!するみたいなんだよ〜。すごくない?」 学生時代から普段はあまりお酒を飲まなかった秀明にしては珍しく酔っ払っていたけれど、その電話は目出度くも結婚報告だった。 「えっ!まじか〜、おめでとう!」 10代半ばから一緒に遊んでいた男友達からの結婚報告に、私は心からおめでとうを言いたかったのだけれど、電話の向こう側にいる当の本人は、酔っているせいかいまいち歯切れが悪い。 「っていうかさ、結婚するみたいって何よ。これからプロポーズするってこと?何、その決意表明?独り身の私にやめてよね〜」 歯切れの悪い理由がわからず、学生時代のように軽口を叩いた私に、 「俺さ、結婚する前に、お前に言っておきたいことがある」と、突然素面に戻ったかのようなしっかりした口調で言い出した。 「俺は、今これを言っておかないと、彼女との結婚に踏み切れない」
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