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プロローグ
すごくいい匂いがする。
干したてのお布団の匂い。
誰かが頭を撫でてくれている気がして、まるで猫にでもなった気分だ。
「ラフィ、まだ起きてくれないのか?」
耳元で、心臓を揺さぶるような低いイケメンボイスが甘くささやく。
誰だろう。王子様かな。
今日の夢はなかなか悪くないですよ。
ふへ、と夢現で笑って、わたし――ラフィ―リアはころりと寝返りを打ち、そして暖かい壁のような何かにコツンと鼻の頭をぶつけ、ぼんやりと薄目を開けた。
「起きたか?」
さわさわとうなじのあたりを撫でられる。
ふへへ、やっぱり猫の気分。どこの誰かはわからないが、なでなでスキルが高い――と、顔を上げたわたしは、視界に飛び込んできた銀色の瞳を持つイケメンに、一気に覚醒した。
サラサラの長い黒髪。
切れ長の、少しだけ青みがかって見える銀色の瞳。
すっきりとした輪郭の中に配置されている顔のパーツは、神の御業としか思えない絶妙なバランスを持って配置されている。―――つまり、超超超イケメン。
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