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各地にある神殿は、魔物討伐に訪れる騎士団の借りの住居のような扱いで、彼らの世話をする「巫女」が必要なのだ。
ちょっといかがわしいようなにおいがプンプンするが、もちろんそれは気のせいではない。
魔物討伐で騎士団が忙しく各地を巡りはじめて十数年。神聖で清らかなはずの神殿は、騎士団専用の娼館のような存在になり果てていた。
最初は騎士たちの目に留まるかもしれないと若い女性がこぞってなりたがっていた巫女は、騎士たちがたわむれに手を付けるだけつけて打ち捨てるの現実を知って一気になり手がいなくなった。
そこで神殿は、孤児や、生活に困窮している家から女の子を買い取るという暴挙に出始めたのである。
引き取られた幼い子供は、年上の巫女から騎士たちの世話についてのノウハウを学ぶ――って、まじでこれ娼館じゃーん! 遊郭だよ遊郭!(そう、わたしの前世は日本人である)
体は五歳児だが、前世二十歳で死んだわたしのこころはしっかり大人。
まじでやばいところに売り飛ばされたじゃんか、と真っ青になったわたしは、神殿に掲げられている紋章を見てさらなる絶望に叩き落された。
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