プロローグ

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 この紋章、見たことあるんですけど?  ちょっと待って。幼いころに神殿に売られた「ラフィーリア」?  前世腐女子だったわたしの記憶がまざまざと思い出される。  もしかしなくてもここ、乙女ゲームの世界じゃないですか⁉  しかも、とんでもなくクソゲーなのに妙な人気があった「オンリーワン~愛と戦争」の世界ですよ!  がくがくぷるぷると震えるわたしの頭を、討伐から帰ってきた騎士の面々がわしわしと撫でまわしていく。  子持ちの騎士たちもいるので、わたしのような幼い子供は、子供好きの騎士たちにすごく可愛がられる。お菓子をくれたり遊んでくれたりするから、騎士のお相手をさせられるようになる大人になるまでは意外と快適のようだが、今のわたしにはそんなことはどうでもいい。  せっかくの金髪も騎士の雑な手によって鳥の巣のようにぼさぼさにされたが、これにもかまっている余裕はない。  ……ここはまじでやばい世界だ。
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