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「お前が、誰よりも貪欲に生きようとしていたからだ。騎士たちに追い回されて住む場所を追われたお前は、ゴミをあさったり野山で草やキノコなどを食べてみたり、とにかく死に物狂いだった。裸足で走り回って傷だらけになっても、騎士に斬られて川に落ちても、絶対に生きることをやめようとはしなかった。最初はただの興味だったのに、気づいた時はそれだけではなくなっていた。ほしいと思った。だから攫って帰ることにした。お前なら皆ともうまくやれると思ったしな。ただそれだけだ。別に、清らかで優しい聖女とやらを欲したわけではない」
褒められているのか貶されているのかよくわからなくなって、わたしはちょっぴり複雑な気分だった。
……なんかこれ、ダメな子だから心配になって連れて来たって、そういうことじゃない?
「それに、そこに崇高な理由がなくとも、お前が魔物たちを逃がしその命を救った事実には何ら変わりはない。あの集落の連中は、『崇高な理由』に感謝しているのではなくて、事実に感謝しているだけだ。そこに理由を探す必要はない」
「だけど」
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