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不眠解消
最近不眠で悩んでいる。夜寝られない分、昼間耐え難い眠気に襲われ仕事が手につかず困っている。仕事だけならともかく車の運転中に眠気に襲われる。
この間なんて、車の運転中ついうとうとし、歩道を歩いていた親子に突っ込むところだった。轢かなかったのは私がラッキーな生まれつきだったからに他ならない。
怠け者と会社を解雇されるのも嫌だが、人殺しになるのはもっと嫌だ。私は家に引き篭もるようになった。
「お困りのようですね」
真夜中、案の定目が冴え天井のしみを数え始めると不意に声をかけられた。知らない男の声に思わず「キャッ!」と飛び起きる。
ベッドの横に真っ黒なスーツを着た男が立っていた。
「誰!?」
「悪魔です」
「そう、不審者ね」
「通報しないで! 悪魔です。俺、結婚適齢期なのですが、なかなか相手が見つからなくて」
「悪魔と結婚して私に何のメリットがあるの?」
「永遠に眠れます」
「それ、永眠って事でしょ。結婚生活楽しめないよ?」
そう言うと、悪魔は情けない顔つきになりしおしおと窓から出て行った。
悪魔が出て行った翌日から寝つきが良くなり不眠は解消した。お陰で会社にも復帰できた。良かった、と胸を撫でおろす。
でもちょっとだけ、ほんの少し残念かも。
あの悪魔、見た目はめっちゃ好みだった。
とは言え、私、天使だからなぁ……。
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