特別な椅子

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特別な椅子

 孤児の私の元に執事という人が来た。着いたのは大きなお屋敷。祖父の家という。大広間には立派な身なりの親子連れがいた。父親は態度が偉そう。母親はオドオドし男の子は嫌な感じで笑う。他に中年男女が一組。 「主人は遺言しました。この家の特別な椅子を見つけよ。零時まで座り仰た者が次の当主だと」  屋敷中の椅子が集められた。それらしい椅子はすぐ見つかる。だって一番豪勢だ。  大人達は争って椅子に尻を突き出す。男の子は父親と中年男の尻の間に押し込められ悲鳴をあげた。私は男の子を引っ張り出し一番手近の汚い椅子に座る。  あー、眠い。カチリ。「当主決定でございます」腕を掴まれる。私が座ったのがお祖父様の「特別な椅子」だった。
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