イヤーワームの進軍

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 物語に出てくる青年は、ある日突然、変な歌が頭の中に流れてくることに気付く。最初はどこかで聞いた、耳残りのいいメロディーがずっと頭の中を繰り返し流れているのだと思っていた。だが、仕事中も食事中も、トイレで用を足しているときも、風呂に入っているときも、そのメロディーは頭の中から離れることはない。歌声は朗らかに青年に呼びかける。 『誘い 誘え 声のするままに 旅立ちの時は来た さあ龍の声のするほうへ』  僕は、文章を書けるが、どうやら詩を書く才能はないらしい。青年が誘惑されたのは、そんなどこかで聞いたことのあるような二番煎じの言葉を並べ立てたような歌声だった。  歌が終わると、龍の鳴き声が聞こえてくる。歌が流れるごとに、それは次第に鮮明になってきて、やがて青年は鳴き声のする方へ歩き出す。異世界に通じる扉が現れ、気づけば青年は勇者の仲間の武闘家に転生していた。それは青年が幼い頃から夢見ていた刺激的な生活。何の変わり映えもしなかったクソみたいな現実とはおさらばだ! やってやるぜ、オレの異世界ライフ!
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