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肩こりがひどい。もしも人間の体がパーツごとに取り外しできて、メンテナンスができるのなら、僕は迷わずに肩を剥ぎとり、気の済むまで揉みほぐすことだろう。いや、そもそも肩を外したとしたら、自分の腕は動かせないはずだ。ではどうすれば……。そうだ、誰かに代わりにやってもらおう。待てよ。だとしたらそれは、マッサージと何ら変わらない。
「君神くん、君神くん、おいっ!! キミガミィ!!!」
凄まじい怒号に、僕は言葉どおり跳び上がった。思考が強制的に中断されて、顔を上げる。きょろきょろと辺りを見渡すと、僕の目の前にあるパソコンモニターの画面の向こうにどこかの寺院で仁王立ちをしている、凄まじい形相の神様が立っていた。
「ハッ、ハイ!!」
勢いに圧されて、僕は立ち上がる。机の上に置かれていたインクが切れかけのボールペンが、弾みで床に落ちた。
「全くぼーっとしてんじゃないよ! 頼んでた資料は出来ているのかね」
相手は神様なんかじゃなかった。部長だ。いや、ある意味神様か。少なくとも、僕の立場上は……。
「出来ていますっ! すみません!」
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