亮と美月

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「亮さんは拓さんのことをすごく尊敬していて、心配なんでしょう? もしくはを取られるのが嫌なんでしょうか。私も亮さんと同じで、拓さんのことを凄く尊敬していますし、それ以上に拓さんを好きな気持ちは負けません。  今はもう諦めるなんて選択肢はないから……出来る限り、ご家族の皆さんに認めてもらうように頑張るしかない。だって、私のせいで拓さんが家族と不仲になるのは嫌だから」 一思いに、思っていることを言い切った。ここまで言う女性は今までいなかったのか、亮さんは驚いて固まっている。 以前のように、自分に自信がない頃の私だったら、亮さんに試された時点で諦めてしまったかもしれない。 でも、今は違う。 拓さんが今までいっぱい勇気をくれたから、それに応えたいと思った。 「なんだよ、何でそんなに真っ直ぐなんだよ……」 「それと、亮さんと拓さんは、一度2人でちゃんと話した方が良いと思います。  拓さん、亮さんはきっと『自由奔放にやってきた俺を許せないんじゃないかな? 自分はこれだけ松本のプレッシャーに耐えてるのに、自分だけ幸せになるのは許さないって思ってると思う』って言ってましたよ。  ……でも本当は違いますよね?」 「そんなこと言ってたのかよ……」 私は手元にあるホットティーに口をつけた。 こんなに強気に出てしまった自分にかなり驚いているが、亮さんの口調が変わったり、「君」から「あんた」に変わってたりして、やっと“素の亮さん”と話せたような気がした。
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