加速するヤキモチ 〜side拓〜※

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「お前の顔見たら、分かるよ。何年家族やってると思ってるんだ」 亮は自分の気持ちに、まだ気付いてなかったのかもしれない。気付かせるようなことを言ったのが、良かったのか悪かったのか……。 亮は戸惑うような表情をして、無言になってしまった。 「美月のこと、好きになるなとは言わない。でも、まだ中途半端な想いなら、思っていることを表に出すな。それで悩むのは美月だ。  ……あと、何があろうと美月は絶対に渡さないからな」 「お、おぅ……」 「あと、今日泊まって行っても良いけど、隣の部屋から美月の喘ぎ声が聞こえても耐えられるのか?」 「はぁっ…!?」 「お前が気にしないというなら、リビングでも、寝室の隣の部屋でも、どこで寝ても良い。鍵を置いておくから、もし帰るならポストに入れておいてくれ。とにかくもう俺たちは寝室に行くから。じゃ、おやすみ」 そう言って、俺は寝ぼけている美月を抱っこして寝室に連れていった。 呆然としている弟をそのまま残して。 *** 「美月、体調大丈夫? 水でも持ってこようか?」 「あ、拓さんだ〜 お帰りなさい」 美月にぎゅーっとハグされる。今日は結構酔ってるみたいだな。前に言っていた通り甘えてくる。 最初に甘えていたのが、自分ではなく亮だったというのはすごく苛立つが。 「美月、他の男に甘えるなって言ったの覚えてる?」 「ん? うん」 「さっき亮に寄りかかって寝てたんだけど、それはどういうことかな?」 「え、嘘、拓さんじゃなかった…?ごめんなさい…飲み過ぎました」
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