加速するヤキモチ 〜side拓〜※

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美月の「あっ……」という微かな喘ぎが、絶頂を迎えた事を教えてくれている。 俺自身も美月の中で締め付けられながら、ゴムに熱を吐き出していった。 ぐったりと横たわっている美月を見て、今日はこれくらいに抑えた方がいいな…とそれ以上の欲を抑える。 もし美月に甘えられたら遠慮なく抱きつくすが、金曜日で疲れた体も労ってあげたい。 さっきは呆然としている亮を放って美月を抱き始めたが、亮の性格上、とっくにタクシーを呼んで帰っているだろう。 ……念のためリビングを見に立ち上がったが、やはり部屋は真っ暗で誰もいなかった。 亮はああ見えて、周囲の機微を敏感に読み取って、必要以上に気を遣う所がある。……今回のように、自分の気持ちに鈍感なのは困ったものだが。 気遣い出来るのは亮の良さでもあるが、松本コンサルティングで人の上に立つには少し弱い所でもある。 ビジネスにおいては、周りに気を遣っている間にみすみすチャンスを逃すこともあるからだ。 時には遠慮せず、周りに何と思われようと思い切る覚悟も必要だ。周りは好き勝手色々なことを言うが、結局最後に責任を取るのは経営者なのだから。 そんな亮に対して、俺は試すような言い方をした自覚はあった。 魅力に溢れた美月を「好きになるな」というのも無理があるし、もし亮が本気なら「ぶつかってこい、正々堂々と相手する」と思っている。 まぁ、選ぶのは美月なのだが。俺はもちろん、美月に選んでもらえるよう本気で努力する。 すやすや眠る美月の寝顔を見ながら、ふと思った。 「さて、亮は自分の気持ちに気付いて、どう出るかな……」 ***
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