6596人が本棚に入れています
本棚に追加
『ふふ。亮さんって、拓さんのことが大好きなんですね』
美月にそう言われた時、『は?』と思った。
兄に対して憧れはあったが、大好きというのは自分で認識してなかったからだ。
『拓さんが誰と付き合うか、誰を好きになるか、それを決めるのは拓さんです。拓さんが必要としてくれる以上、私はそれに応えたい』
『亮さんは拓さんのことをすごく尊敬していて、心配なんでしょう? もしくはお兄さんを取られるのが嫌なんでしょうか。私も亮さんと同じで、拓さんのことを凄く尊敬していますし、それ以上に拓さんを好きな気持ちは負けません』
なんでこんなに真っ直ぐ、貫けるんだろう?
こんなことを言ってくる女は今までいなかったから、ただただ驚いた。
しかも、兄を好きな理由が顔やスペック、社会的なステータスじゃない。
変わった奴だな、とさらに興味が湧いた。
俺は徐々に、美月に対して素を出すようになっていた。
***
美月に「拓さんともっと面と向かって話した方が良い」と言われたこともあって、兄は兄で自分に対して気を遣っていることが分かった。
2人のことをもっと知るか、と思い度々マンションに顔を出すようになった。
ちなみに、兄ほどではないが、俺も結構モテる方だと思う。自分から口説くことは殆ど無く、女性の方から言い寄って来られることが多い。
でも、美月はこれまで出会ってきた女性と違って、俺に対してかなり雑な態度だった。
最初のコメントを投稿しよう!