気持ちの正体 〜side亮〜

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『ふふ。亮さんって、拓さんのことが大好きなんですね』 美月にそう言われた時、『は?』と思った。 兄に対して憧れはあったが、大好きというのは自分で認識してなかったからだ。 『拓さんが誰と付き合うか、誰を好きになるか、それを決めるのは拓さんです。拓さんが必要としてくれる以上、私はそれに応えたい』 『亮さんは拓さんのことをすごく尊敬していて、心配なんでしょう? もしくはお兄さんを取られるのが嫌なんでしょうか。私も亮さんと同じで、拓さんのことを凄く尊敬していますし、それ以上に拓さんを好きな気持ちは負けません』 なんでこんなに真っ直ぐ、貫けるんだろう? こんなことを言ってくる女は今までいなかったから、ただただ驚いた。 しかも、兄を好きな理由が顔やスペック、社会的なステータスじゃない。 変わった奴だな、とさらに興味が湧いた。 俺は徐々に、美月に対して素を出すようになっていた。 *** 美月に「拓さんともっと面と向かって話した方が良い」と言われたこともあって、兄は兄で自分に対して気を遣っていることが分かった。 2人のことをもっと知るか、と思い度々マンションに顔を出すようになった。 ちなみに、兄ほどではないが、俺も結構モテる方だと思う。自分から口説くことは殆ど無く、女性の方から言い寄って来られることが多い。 でも、美月はこれまで出会ってきた女性と違って、俺に対してかなり雑な態度だった。
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