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「あれ、亮さん、また来たんですか?」
「来ちゃ悪いかよ」
「別に良いんですけど。あ、今日は手抜きご飯ですけど食べますか?」
「手抜きって」
「嫌ならあげませんよーだ」
俺はこの雑なやり取りを楽しんでいた。誰に対しても結構気を遣う所があるから、こんな風に気を遣わず過ごせるのは居心地が良かった。
もうこの時点で、俺は美月に惹かれていたのかもしれない。
金曜夜に押しかけた時は、3人でゲームをやって過ごした。そもそも兄さんとゲームしたのなんて、何年ぶりだ?
兄さんがお酒を買いに行っている間、うつらうつらし始めた美月が俺に寄りかかってきた。兄と勘違いしたのかもしれないが、俺に心を許しているのかと嬉しくなってしまった。
起こすのも可哀想だからそのままにしていたが、帰ってきた兄の顔から怒りが滲み出ていた。
……自分の気持ちに気付いてしまった今、俺は最後までこの気持ちに蓋をできるのだろうか?
***
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