6596人が本棚に入れています
本棚に追加
突然の温泉旅行
雲一つない、晴れ渡った空の土曜日。
私は、拓さんの運転で草津に向かっていた。
『転籍祝いに温泉旅行に行こう』と以前約束していたこともあって、私の誕生日祝いも兼ねて旅行に行くことになった。
7月7日が私の誕生日なので、平日の7月8日に夏季休暇を1日取って、三連休にした。
2人でゆっくり国内旅行できるなんて、凄く嬉しい。ゆっくりさせてもらえるかは分からないけれど。
ちなみにアドプランに転籍してから、まだあまり日は経っていない。なぜ拓さんがそこまで旅行を急いだのかは、正直あまり分かっていなかった。
拓さんに聞いたら『善は急げ、ってことで』と笑っていた。
亮さんとの関係が原因で拓さんが少し焦りを感じていることに、この時の私は気付いていなかったのだーー。
「拓さん、草津遠いですよね。本当運転お任せしちゃってすみません。私、東京に来てから完全にペーパードライバーなんですよね……」
「まぁ東京に住んでたら、大体電車移動で済むもんな。俺はこまめに休憩挟めば大丈夫だから」
「……拓さんは草津に行ったことあるんでしたっけ。随分前ですか?」
「あぁ、子供の頃に家族で行ったと思うんだけど……かなり前だからうろ覚えだなぁ。美月は無いって言ってたよね?」
「はい!なのでとっても楽しみです! 最近スマホも機種変したので、一眼レフは置いてきました。草津で何食べようかな〜っ」
「プハッ 本当美月は、お酒だけじゃなくて食べることも好きだな。温泉について調べなくていいの?」
「あ、そうですよね、でもついグルメのページ見ちゃうんですよね……見てて幸せな気分になるというか……」
最初のコメントを投稿しよう!