突然の温泉旅行

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「27歳は本当に濃い一年でしたねぇ……。田沼さんが上司になった時はどうなるかと思いましたけど、勢いで銀座のホステスに挑戦して、拓さんと出会って……  人生が180度変わっちゃいました。今じゃ新しい会社にいますしね」 「そうだよな。1年前はまだこうなること、予想つかないよな。人生って何があるか本当に分かんないな」 「拓さんは誕生日まだですけど、今のところどうですか?」 「んー俺も、すごく変化の年だったよ。女性なんて懲り懲りだと思ってたのに、美月と出会って、こんなに自分が女性を溺愛するなんて思いもしなかった」 「あはは、確かに溺愛ですね! 28歳も宜しくお願いしますね?」 「美月、あのさ……」 突然改まったように、姿勢を正す。 「まだ付き合って数ヶ月だし、気が早いかもしれないけど……俺は、これから先も美月とずっと一緒にいたいと思ってる」 「え……?」 「美月はどう思ってる?」 「……私も拓さんと一緒にいたいです」 ニコッと微笑む拓さん。優しくて強い拓さんの隣で、私は胸を張って歩いていきたい。 「同棲を始めた時点で、将来について真剣に考えてたんだけど……この先の言葉は、足湯しながらとかじゃなくて、改めて言わせてほしい。俺もそれなりに、格好つけたいし」 「ふふ、拓さんはいつでもかっこいいですよ。でも、ありがとうございます。嬉しいです」 なんだかくすぐったい雰囲気に、堪らずシャンパンに口をつける。すると、部屋のチャイムが「ピンポーン」と鳴った。 「この時間になんですかね?」 「お、来たかな」
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