突然の温泉旅行

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「拓さん、部署の人用のお土産は私が買いますからね。2人で草津のお土産買ったら『私たち一緒に行ってきました!』って言ってるようなもんだし」 「そうか? 俺はもう『俺たち付き合ってます』って言いふらしたいくらいだけど」 「いずれはと思うんですけど……果林ちゃんにもまだちゃんと言ってないし、みんながみんな秋田さん達のように応援してくれる訳でもないと思うので、ちょっと足踏みしちゃいますね。  とはいえ、帰ったらまず果林ちゃんには、ちゃんと話そうと思ってます」 「そうか。何かされそうになったら、すぐ叫ぶんだぞ?」 「叫ぶって。私、やっぱり果林ちゃんに何かされますかね……?」 「あの手のタイプは何するか分からないからな。俺的にはもう無視でも良い気がするけど」 「うーん、避け続けるのも大変そうなんですよね……」 果林ちゃんの恋心を考えると、少し暗い気持ちになってしまう。でも、拓さんを譲るとか、そういう選択肢は私の中にはない。 「美月、せっかくの旅行だから、楽しいことを考えよう?」 「そうですね! まだ食べてないスイーツは……次はプリン食べようかな?」 「ハハッ 美月、食べ過ぎ。というか楽しいことって、何もグルメじゃなくても良いんだからな?」 「え〜 食べるのって楽しいですよ〜」 そんなことを言い合いながら、あっという間に楽しいひとときは過ぎていった。 3日目はお昼過ぎに草津を出発し、夕方以降はゆっくり休んで仕事に備えることにした。 そうしてまた、怒涛の平日が始まる。 ***
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