歪んだ恋心

2/14
前へ
/165ページ
次へ
早速「いただきます!」と食べ始める。果林ちゃんは早速、拓さんの話をし始めた。 「この間、久しぶりに拓さんをお見かけしたんです!相変わらず格好良くて。今日はオフィスにいらっしゃいますか?」 「うん、今日は一日、オフィスにいる日だったと思うよ」 「そうなんですね! 今日こそは連絡先、渡してみようかなぁ」 うきうきしながら話す彼女は、恋する女の子そのもので。複雑な気持ちで彼女を見つめる。 そろそろ草津土産を渡そうかなと思った時、果林ちゃんが「あっ、そうだ!」と思い出したように鞄の中から何かをゴソゴソと探し始めた。 「これ、どうぞ!お土産です」 「バームクーヘンかな?ありがとう! どこに行ったの?」 「週末、家族で草津まで行ってきたんです。親戚が群馬にいるので、草津まで足を伸ばしちゃいました!」 「えっ」 まさかの場所に固まってしまう。あの時あの場所に果林ちゃんもいたなんて。もしかしたら、どこかですれ違ってたりするかな……? 今日、拓さんと付き合っていることを伝えようと思っていたから、様子を伺う。 「草津で美月さんと似たような人を見かけたんですが、まさかそんな同じタイミングで行く訳ないですよね〜?」 「はは……そうだね、週末はゆっくり過ごしてたよ……」 歯切れの悪い回答になってしまう。 亮さんにはあんなに言いたい放題言ってしまったのに、果林ちゃんに遠慮してしまうのは何故だろう……。
/165ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6595人が本棚に入れています
本棚に追加