歪んだ恋心

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その後、私は先にベッドに入ったけれど、拓さんが同じベッドに来ることは無かった。 どうやらリビングのソファで眠ることにしたようだ。埋まらないベッドの空間が、とても寂しく感じる。 私と拓さんは初めてギクシャクした関係になってしまった……。 *** 次の日、朝起きるともう拓さんの姿は無かった。 今日は外出の予定が入っていたようだし、早めにオフィスで事務仕事をしてから外に行くつもりなのだろう。 若しくは、私の顔を見たくなかったのかもしれないが……。 一人出社すると、今日は周りからやけに視線を感じることが多かった。 身だしなみを確認しても、特に変な所はない。「なんだろう?」と思いながら、自分のデスクについた。 少し息を切らして出社した秋田さん、大塚さんが、私を見つけた瞬間「「向原さん!」」と焦ったように声をかけてきた。 同じタイミングで、ふあぁと欠伸をしながら出社した一木君。彼だけはいつもと様子が変わらない。 「秋田チーム、B会議室に集合!」 「え、今からですか?」 「向原さんに話があるので、すぐ移動しましょう」 「えー俺も行った方が良いスか? 何の案件の話です?」 「「緊急の案件!」」 出社して早々に、4人でB会議室に集合した。一体何の件だろう? クライアントとのトラブルだろうか? 「向原さん、今朝、関係者の間でかなり拡散されてるSNSの投稿、見た!?」 「え、今日は……新しくオープンした丸の内の地下街グルメ投稿が伸びてるのは見ましたけど……」 「違う違う、昨日の夜、松本さんと弟さんの3人で会った? その時の写真!」
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