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2人の出会い
次のテーブルで接客対応している時、新しいグループのお客様が来店された。
「「「いらっしゃいませ」」」
出迎えたお客様の中には、銀座のお客様に多い60代位の方が2人と、珍しく30代くらいの若い男性もいた。スラリとした体型に、身長も恐らく170cmと少しあって立ち姿も素敵だ。
すっきりとしたシャープな顔立ちに「芸能人で似た人がいたな」とつい考えてしまった。
私とミカさんが、新規のお客様の対応に駆り出された。早速席につき、おしぼりを渡してお酒を注ぎ始める。
その若い男性客は、恐らく他の方に無理やり連れてこられたのだろう。あまり気乗りしていないように感じた。
「初めまして、ナナです。お名前伺っても宜しいですか?」
「あぁ、はい、松本です。名刺、お渡ししますね」
その時初めて、松本拓さんと目が合った。
ドクンッ
なぜか、脈が早くなるように感じた。遠目で立ち姿を見た時も存在感はあったが、いざ目の前で顔を合わせると、ドキドキと胸が高鳴ってしまう。
ーーー『もうすぐホステスも辞めるってなったら、意外と銀座で良い出会いがあったりして?』
もう、南さんが余計なこと言うから、変に意識しちゃう!違う違う、これは仕事!
なんとか自分に言い聞かせた。
(名刺を渡してきたと言うことは、仕事の話もNGではないのかな?)と慎重に様子を伺う。いつもだったら、そのまま上手く違う話に持っていけるのに、社名を見てつい前のめりになってしまった。
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