歪んだ恋心

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「恐らく……受付の三木谷果林さんな気がしています」 「あーあの子、裏がありそうよね。いつもニコニコしてるけど。向原さんは何か心当たりがあるの?」 「昨日社食で一緒にランチしたんですけど、週末、果林ちゃんも草津にいたらしくて」 「そんな偶然あり得るんですか?! 向原さんと松本さんが行ってたタイミングですよね?」 「そうなんです……似た人を見たと言っていたし、そこで私と拓さんが付き合っていることを知ったのかもしれません。もっと早く言えば良かったのかな……」 しょんぼりしていると、秋田さんが慰めてくれる。 「ああいうタイプはいつ言っても、ダメでしょうね。狙った獲物は捕まえないと気が済まないって感じで」 「拓さん狙いで転職してきたって言ってましたし、言うに言えなくて……はぁ」 せっかく、この会社では人間関係も上手く築けたと思っていたのに、また嫌な思いをするのか……と悲しくなってくる。 「まぁでも、こんな出所も分からない、信ぴょう性のない投稿を信じるなんて、うちの会社の社員もダメダメね! 広告に関わる人間なんだから、その辺のアンテナは高いはずなんだけど」 「この写真、向原さんかどうか、はっきりは分からないですよね。1枚目は後ろ姿で、2枚目も少ししか映ってないし。素人が撮ったって感じで、これを信じちゃダメですよね〜」 「そ、だから、私あとで大きな声で言ってやるんだから!」 「え、何を言うんスか?」 「まぁまぁ、見ててって。あ、向原さん、私も出来る限り噂が長引かないように協力するから。まぁ松本さんが既に動いてると思うけど!」 「皆さん……本当にありがとうございます」
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