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「私も、最初拓さんに一目惚れした時、自分の気持ちには蓋をしたんです。もう2度と会えないだろうと思ってたし」
「そうなのか?」
そう言って、拓さんとの銀座での出会いや、その後私に会うために買収に首を突っ込んだこと、パワハラから助けてくれたことなど、これまでのことをかいつまんで話した。
聞き終わった亮さんは開口一番に、
「ハハッ! やっぱすげーわ、兄さんは。好きになったからって、普通そこまでする?」
「普通はしないですよね。私もびっくりしちゃいました」
「いやー、兄さんには色んな所で負けてるなと思ってたけど、俺はそこまで出来ないな。まぁ、今回の美月との件で、兄さんも弱い所があるんだなって分かったのは新しい収穫だった」
「弱い所?」
拓さんの弱い所とは、どういう意味だろう?
「だって、前にマンションに行った時にはすげー牽制されたし、昨日なんて殴り掛かってたろ? 相当余裕ないんだな、と思った」
「昨日の件はそうだけど、牽制もされてたの?」
「そうそう。最初は何のことかと思ったけど、兄さんは美月が関わると全部本気なんだな」
そう聞くと、嬉しくて体がじわじわ温かくなっていくような気がする。でも、果林ちゃんの件を思い出して、また暗い気持ちになってしまった。
「ん?どうした?」
「あのー、亮さん、今朝のSNSの投稿見ました?」
「え、何の投稿? 俺関係あるの?」
「はい、実はこれなんですけど……」
そう言ってスマホを差し出す。写真と文章を見て、亮さんは目を丸くした。
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