守りたいもの 〜side拓〜

3/10
前へ
/165ページ
次へ
次の日の朝、隣の課の課長から電話がきて驚いた。SNSで昨夜の様子が晒されているぞと言われたからだ。 美月がその投稿を見る前に全て片付けたかったが、それは間に合わないだろう。 仕事もあり時間は無かったが、秋田だけには「あの投稿はデマだから、美月が傷つかないようフォローしてほしい」とメールを送っておいた。 犯人は恐らく三木谷果林だろうが、確固とした証拠がない。 だったら本人に聞いてしまおう、と思っていた。俺は早速、三木谷果林のLIMEに連絡を入れた。 「お疲れ様です、松本です。早速ですが、今夜ご飯ご一緒できませんか?」 「はい!もちろんです!! 場所はどちらが都合が良いですか??」 「19時ごろ、駅近くのイタリアンはいかがでしょうか? 現地集合で」 「はい、是非!とても楽しみにしています!!」 三木谷果林の方は、一旦これで次のアクションは決まったな。あぁ、亮ともちゃんと話さないな。考えることはいっぱいだ。 この日はクライアント先の訪問が中心で、オフィスに戻るのが遅くなってしまった。 一度オフィスに戻って資料を軽く整理してから、俺も移動することにした。 三木谷果林には「現地集合で」と伝えていたはずなのに、どこかで待ち伏せしていたのかオフィス内で捕まってしまった。 「松本さーん!」 「三木谷さん、現地集合じゃ無かったですか?」 「私もちょうど終わった所なので、お待ちしていました! 私、とっても楽しみにしていたんです。一緒に行きましょう!」 グイグイと腕を引っ張られる。こういうボディタッチが多いのも苦手だな、と小さくため息をついた。
/165ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6600人が本棚に入れています
本棚に追加