守りたいもの 〜side拓〜

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そろそろ本題に入ろうと思い、今朝のSNS投稿の件について触れた。 「そういえば、三木谷さん。今朝のSNS見ました? 俺のこと書かれてたんですけど、あれを見ても俺のことが良いと思います?」 「あぁっ! あの投稿ですね!! もう、朝からびっくりしました。美月さんって、すごく素敵な人だと思ってたんですけど、まさか松本さんと付き合っているのに、弟さんと浮気しているなんて……。  松本さんは被害者ですよ! 嫌いになる訳ないじゃないですか!」 「へー。君はあの投稿、全て鵜呑みにするんだね」 「え?」 「というか、なんであの写真で美月って分かったの?」 「そ、それは……っ! 会社でもかなり噂になってましたし、私は美月さんと会ったことがあるので、写真の雰囲気とよく似てるなと思いました!」 そう、美月ははっきり映っていないので、あの写真だけでの特定は難しい。どんな反応をするのか、敢えて鎌をかけてみたのだ。 恐らく、自分で上手く撮影できなかったがために、会社で「この写真の女性は美月だ!」とさらに話を大きくしたのはこの女なのだろう。 「あの投稿、デマなんだよね。美月は浮気していないし、弟の亮が片想いしててつい抱きしめちゃったっていう」 「でも! それって、美月さんが弟さんを誘惑するようなことをしてたんじゃないですか?」 「いや、そんなことはないよ。まぁ、だとしても、これは俺と弟の問題だから、部外者が首を突っ込んで良いことではないけどね」 冷たく突き放すように話す。先ほどと違って、2人の間に流れる空気が冷えてきた。 「そ、そうですよね…!」としどろもどろになる三木谷をよそに、俺は追い討ちをかけていく。 「あんな捨てアカで、普通だったら誰も見向きもしないような内容なのに、なぜこんなに拡散されたのか凄く不思議に思ったんですよね」 「へ、へぇ……たまたまですかね? 誰か社内の人が見つけたのかも!」 「そうですね、社内の人が見つけたんだと思います。あぁ、あと、美月の顔がちゃんと映ってなくて、撮影に関しては素人っぽいんですよね。なんていうかこう、切り取り方は上手いんですけど」 「へぇ……」
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