守りたいもの 〜side拓〜

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「そうか……それにしても土曜まで帰ってこないとか、俺は耐えられるのか?」 「プッ たった2日じゃん! 出張の時とかどうするんだよ」 「最近は無かったけど……苦行だな。どうしたらいいんだ?」 「はははっ そういえば、SNS投稿した奴と会ってたんじゃないの? なんか進展した?」 「あぁ、軽く脅しておいたから、すぐ投稿は消すんじゃないか? 見てみるか……あ、やっぱり消えてるな」 「わーお、怖いなぁ。兄さんを敵に回したく無いよね。そう言われることない?」 「たまにあるな」 ははは、と笑いながら、亮も2杯目のウイスキーに口をつける。 「あと、美月の件だけど」 「あぁ」 「美月が特別だなと思うようになったのは最近だし、今なら、早く前みたいな感じに戻れると思ってて。  時間と共に消化していくよ。2人の関係を壊したい訳じゃないからさ」 「……分かった。まぁ『戻る』っていうと最初の余所余所しい感じをイメージするけど」 「いや、そこまでは流石に。お互い素が出せる、親友的なポジションになれたらって感じかな?」 「そうか」 あぁ、とふと思い出したように亮が話し始める。 「そういえば。なんかあの人、変な勘違いしてたよ」 「美月が? どういうことだ?」 「そのSNS投稿した人と兄さんが、一緒にオフィス出る所を美月が見たらしくて。  俺が『あぁ、今頃兄さんが戦ってるんだと思うよ』って言ったら、『戦う?! え、どういうこと? まさかベッドの上で……?』とか面白いこと言ってた」
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