6606人が本棚に入れています
本棚に追加
いつも2人で
(突然、Bar三日月に来ちゃったけど、金曜夜で座れるかな……)
混雑を心配しながら、恐る恐るドアを開ける。
「こんばんは。一人ですが、入れますか?」
「美月さん、いらっしゃい。どうぞ、宜しければこちらのカウンターで」
案内されたカウンター席に腰を下ろす。
「美月さん、バッグお預かりしましょうか?」
「あ、すみません。ちょっと大荷物で来ちゃって……お願いしても良いですか?」
そう言って、マスターの仁さんに洋服や化粧品の入ったバッグを渡した。
「仁さん、今日も冒険したいんですけど、お任せでお願いしても良いですか?」
「はい、もちろんですよ。甘いものがお好きだと思うんですけど、いつもと違う感じのものでもありですか?」
「はい! 甘くなくて辛いものでも大丈夫です!」
「分かりました」
仁さんの無駄のない動きをジッと見てしまう。私の視線に気付いたのか、ふふと笑みをこぼした。
「あ、すみません。ついジッと見てしまって……仁さんの無駄のない動きが見てて気持ち良いというか、ずっと見ていられます」
「ありがとうございます。ちょっと照れちゃいますね……では、一杯目はこちら、ダイキリでございます」
「ダイキリ?」
「ラムベースのカクテルでして、ホワイトラム、ライムジュース、シュガーだけで作るとてもシンプルなカクテルです。
さっぱりとした味わいの中に、ほのかに甘みを感じられますよ」
「そうなんですね。では早速、いただきます」
初めて飲むダイキリを、ゆっくり口の中に流し込む。
最初のコメントを投稿しよう!