今夜も甘いひとときを ※

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今夜も甘いひとときを ※

拓さんの熱のこもった視線に、愛の言葉が重なってゾクゾクする。 いつも拓さんにリードしてもらってばかりだけれど、実は私もサプライズを用意していた。 (『気合い入り過ぎ』って思われて、引かれたらどうしよう……) 少し躊躇っていると、拓さんが「ん?」と首を傾げた。 「美月、どうしたの? 何か言いたそうだけど」 「えっと、実は……私もサプライズを用意しておりまして……」 「え、何? 美月も何か考えてくれてたの?」 拓さんの顔がぱぁっと明るくなり、「なになに?」とワクワクしている。 「拓さん、このロングドレス、脱がしてくれますか?」 「??」とはてなマークを浮かべながら、拓さんがドレスの後ろのファスナーを下ろしてくれる。 全てが露わになった時、拓さんが顔を赤くしながら手で口を覆っていた。 「え……待っ、なんで? これ、今日ずっとこの格好だったの?」 「……はい、まずかったですか?」 「いや、え、タクシー乗った時も、ディナー食べた時も? 家出る頃から?」 「……プッ ふふっ、拓さん、動揺しすぎですよ! カップ付きのドレスだったから、透けたりは無かったはずなんですけど……」 喜んでもらえるか不安な気持ちが大きかったけれど、真っ赤な顔して動揺している拓さんを見たら、なんだか面白くなってしまった。 「待って、もっとよく見せて?」 「はい」 今日のために着てきた黒いレースのランジェリー姿をじっと見られて、徐々に恥ずかしくなってくる。 こんなに大胆なレース使いのものを買ったのは初めてだ。
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