ドレスを脱いだら

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ドレスを脱いだら

プロポーズの後、拓さんのご両親に挨拶に行った。その席には亮さんも同席してくれて、和気あいあいとした雰囲気だった。 それに、拓さんのお父さんもとても喜んでくれた。 そして、私の実家にも拓さんと2人で行き、私の両親にも結婚の報告をした。父も母も涙ぐんでい た。 その後もトントン拍子に事は進み、両家顔合わせや結婚式の予約を済ませた。結婚式の前に入籍もして、晴れて“向原美月“から"松本美月"になった。 会社で入籍の報告をした時は、「松本親衛隊」の3人も大喜びだった。 ちなみに、果林ちゃんはあの後どうなったかと言うと、特に顔を合わせることもなく(謝罪されることもなく)、早々に転職したそうだ。 仕事は向原の名字で続けており、営業成績も好調だ。拓さんは、広告事業部の部長に昇進した。 どうやら役員になるのも、そう遠い未来ではなさそうだ。 あっという間に時が経ち、プロポーズからちょうど半年くらいが経った頃だ。この日、私は真っ白なウェディングドレスに身を包んでいたーー。 *** 結婚式が始まる直前、ウェディングドレスを着て、ヘアメイクを済ませた私は控え室で一息ついていた。 ーーコンコンッ 「はい?」 「美月、入って大丈夫か?」 「拓さん! どうぞ」 ドアの方を見ると、タキシード姿の拓さんが立っていた。 (か、かっこいい……!)
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