ドレスを脱いだら

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背が高くてスラリとした体型の拓さんは、タキシードもばっちり着こなしている。 私のドレス姿を見た拓さんはというと、何も言わず固まっていた。 「あの〜拓さん? どうですか?」 「あぁ、悪い、あまりに綺麗で見惚れてた。このまま誰にも見せずに独り占めしたいな……」 「もう〜! 出会った時と違って、私たち2ですよ! もちろん親にも見せたいですけど」 「あぁ、そうだな。美月、本当に綺麗だよ」 そう言って見つめ合うと、拓さんが今にもキスしてしまいそうだった。 コホンッ、と咳払いするスタッフの方と、顔を真っ赤にしている私の母。 ごめん、今完全に2人の世界でした……。 「新郎様、新婦様、そろそろお時間です」 「はい。じゃあ美月、俺は先に行って待ってるね」 「うん、また後ほど」 その後、結婚式は始まった。 式場にはお互いの両親のほか、弟の亮さん、今井社長、松本親衛隊こと秋田さん・一木君・大塚さん、そしてBar三日月の仁さん、古い友人や会社の同僚など、色んな人が集まってくれていた。 父とバージンロードを歩いた私は、父から拓さんにバトンタッチされていく。 そして式は進行し、誓いの言葉が始まった。 「新郎・拓、あなたはここにいる新婦・美月を、病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も、妻として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」 「はい、誓います」
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