ドレスを脱いだら

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拓さんが2人分のお茶をテーブルに置いてくれた。早速、美味しく頂く。 「今日の美月、本当綺麗だったなぁ」 「ふふ、ありがとうございます! そういえば、拓さんと出会った時もドレス着てましたね。銀座のホステス用の、青いドレスでしたけど」 「あぁ、そうだな。あれも綺麗だった」 「あの時は、色々と自信を失くしてる頃で……ある意味ドレスが『戦闘服』みたいな感じでした。これを着ている時だけは、そういった暗い気持ちも全部忘れて、目の前のことに集中できるっていう」 うんうん、と頷きながら、拓さんは黙って聞いてくれている。 「でも、ドレスを脱いだ“素“の自分は、拓さんに受け入れてもらえないんじゃ無いかと思ったりしてましたね」 「あぁ、そうだったよな……。随分昔のことのように感じるけど、まだ一年経ってないのか。素の美月も、俺にとっては全てが魅力的だった」 「ふふ、そう言ってくれるのは、拓さんだけですよっ 私にとって素の拓さんも魅力的で、大好きです!」 椅子に座ってお茶を飲んでいた拓さんが、ベッドに移動し私の隣に腰掛ける。 そうして私の髪をさらりと、拓さんの長い指で絡めとった。優しく微笑みながら、手で髪を梳いている。 「ドレスと言えば、このホテルで初めてスイートに泊まった時もだけど。あの時は、ロングドレスを脱いだ美月が、黒いレースのランジェリー姿で本当に驚いたな」
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