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俺様課長と、デート①
約束をした夜7時、駅前に行くと既に松本さんの姿があった。
「お待たせしました!」
「いや、俺も今来た所。さぁ、ご飯を食べに行こう。その後、俺の行きつけのバーに連れて行っても良い?」
「はい、ぜひ! 楽しみです!」
松本さんが連れて行ってくれたのは、裏通りにある隠れ家のような小料理屋だった。
女将さんとも顔見知りのようで、「松本さん、いらっしゃい。お待ちしてました」と出迎えられていた。
「……松本さんって、おいくつでしたっけ?」
「え、32だけど。それがどうかした?」
「いえ、32でこんな風に良いお店を知ってたら、さぞモテそうだなぁと思いまして」
「モテるっていうのは、モテたい人にモテないと意味がないもんだぞ」
「そういうものですか?」
私たちのやり取りを聞いていた女将さんが、ふふふと笑みをこぼした。
「松本さんはうちによくいらっしゃってますけど、女性を連れて来られたのは初めてですよ」
ニコニコしている女将さんと、バツの悪そうな顔をしている松本さん。
「女将さん、それは俺の格好がつかないので……」
「ふふ、ごめんなさいね。ついお節介してしまったわ。さぁさ、座ってくださいな。今日も旬の食材を取り揃えてますからね」
早速、カウンター席に二人並んで座る。その日仕入れた旬の野菜や新鮮な魚を使った、料理長お任せコースを楽しむことにした。
料理に合わせて日本酒もペアリングしてもらえるそうだ。
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