俺様課長と、デート①

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「お二人とも、最初はビールにしますか?」 「あぁ、向原さんもビールで大丈夫?」 「はい、ぜひ」 そう言って、キンキンに冷えたグラスにビールが注がれた。早速松本さんとグラスを寄せ合う。 「「乾杯」」 いつもの安い居酒屋で飲んでいるものより、何倍も美味しい。それに明日は土曜日だ。次の日を気にせず飲めるお酒ほど、美味しいものはない。 前菜には、冷製茶碗蒸しが出てきた。口に含むとふわっととろけて、あっという間に消えてしまった。 「んん〜!美味しい! 前菜がこんなに美味しいなんて……」 「はは、喜んでもらえて良かった。連れてきた甲斐があるな。ここはどれも美味しいから楽しみにしてて」 その後も、釜揚げしらすのサラダや刺身盛りが運ばれてきた。漁港直送の魚は、どれも身がしっかり引き締まっていて食べ応えがある。 魚に合わせて、日本酒もおすすめのものを頂いた。 「松本さん、私、もう胃袋が掴まれそうなんですけど、チョロい女ですかね…?」 「あはは、まぁ俺は口説いてる訳だからね。掴まってくれたら御の字。あと、拓って呼んでって言ったと思うけど?」 「あ、えーと、拓さん?」 「そうそう。あ、美月、この日本酒飲む?」 (さらっと名前で呼んでる…!! やっぱり女の扱いに慣れた遊び人?) 「は、はい、飲みます」と狼狽えていると、察した女将さんが「ふふ」と笑いながら話しかけてきた。 「松本さんのお連れさんのお名前、伺っても宜しいですか?」 「はい、向原美月と言います」
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