俺様課長と、デート①

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「ですね……。それ以外にも、銀座にいると『女性として常に比較され続ける』感じがするっていうんですかね。それが楽しめる人は、常に自分を高め続けられるんだと思うんですけど。  ここ数日の田沼さんの言動も悪化してて、余計疲れちゃってるのかも」 「そっかぁ。でも松本さんは、素の向原さんを受け入れてくれそうだけど。自信の無さで相手の好意を受け止めきれないのって、すっごく勿体無いと思う」 南さんが言うことはごもっともだ。それに好意を中途半端に受け止めている状態は、相手にとっても時間の無駄にしかならない。 松本さんは「時間がかかることも織り込み済み」と言ってくれたけど、それに甘えてはいけないと思っている。 「はい、なので、思いっきり素が出そうなデートにお誘いしてみようかなと。あと、ストレス発散にもなりそうなやつ!」 「え、何なに??」 「私、田舎出身なので動物が大好きなんですよね。犬カフェでも良いんですけど、いっそ車で千葉まで行って、市原ぞうの国とサユリ・ワールドに行ってみたいなと」 「え、ぞうとサユリ? 何それ、市原にそんな場所があるの? 初めて聞いたわ。  ……なんて言うか、本当に銀座のクラブとは真逆の場所って感じね、良い意味で。あれ、向原さんって千葉出身だったっけ?」
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