俺様課長と、デート② ※

2/10
前へ
/165ページ
次へ
「そうだ、今日拓さんと話したかった件なんですけど、私、次のデートは動物園に行きたいんです」 「あぁ、良いじゃないか。楽しそうだ」 拓さんはニコニコしながら、機嫌良さそうにワインを飲んでいる。 「それが、ちょっと普通の動物園と違うと言いますか……市原ぞうの国と、その隣にあるサユリ・ワールドっていう場所なんですけど。  特にサユリの方はかなり動物との距離が近くて、柵がない状態で目の前にカピバラとかカンガルーが近寄ってくるんです。  なので、匂いが気になる場合もあるみたいですが、本当に大丈夫ですか?」 「うん、面白そう。俺も動物は大好きなんだけど、子供の頃結構アレルギーがあったりして、母親が過保護になり過ぎてほとんど触らせてもらえなかったんだ。  今はだいぶアレルギーも落ちついてきたし、行ってみたい。くしゃみが出たり痒くなったりするかもしれないけど、様子見ながらでも良ければ」 「はい、私は良いんですけど……本当に無理だけはしないでくださいね?」 「あぁ、大丈夫だよ。それにしても、市原にそんな場所があるのは知らなかった。銀座と動物園、美月の振り幅が広くて面白いなぁ。あ、車は俺が出すから安心して」 ……アレルギーの件は不安も残るが、無事、拓さんに快諾してもらえた。そして早速、次の土曜日に千葉に行くことになった。 *** 今週も目まぐるしく仕事をこなして、あっという間に約束の土曜日になった。 今日は動きやすい服装にしておこうと、ノースリーブのトップスにスキニーデニム、温度調節できるよう薄手のシャツを羽織り、靴はスニーカーを合わせてラフなコーデになった。 この日、SUV車で現れた拓さんは、ジーンズにシャツ、サングラスと同じくラフな格好だった。
/165ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6592人が本棚に入れています
本棚に追加