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拓さんのマンションに到着した。
オフィスからも近く、築浅のマンションで、家賃もとても高そうだ。私の住むおんぼろアパートとは比べ物にならない。
お部屋にお邪魔すると、一人暮らしで使うには広々とした間取りの1LDKだった。物が少なく、シックな家具で統一されている。
「お邪魔します」
「うん、そこのソファ座って。お茶淹れようかと思ったけど、先にシャワー浴びる?」
「はい、ちょっと匂いとか気になるので、先にお借りしたいです」
「どれどれ」と言いながら、拓さんは私の首筋に顔を近づけてクンクン嗅ぐような仕草をしている。
「ちょっ…!臭いので、ダメです!!」
「あはは、動物の匂いしないよ。あ、自分も同じ匂いだから分からないだけかな」
「そうですよ、だから早くシャワー浴びちゃいましょう?」
「一緒に入る?」
「別々で!!!」
ははは、と笑っている拓さん。拓さんだけ余裕のある感じが悔しい。いつも私ばかりがドキドキさせられている。
順番にシャワーを浴びて一息つこうとした時に、拓さんが頼んでくれていたデリバリーが届いた。熱々のピザが登場して、早速食べることにした。
「「いただきます!」」
「……うん、美味しい!」
「美月って毎回そうだけど、本当に美味しそうに食べるよな。なんか見てて幸せな気持ちになる」
「食べるの好きなんですよね、すみませんつい頬張っちゃって」
「いや、どんどん食べて。お茶だけじゃなくて、お酒もあるよ。ピザだからワインでも飲む?」
「はい、あ、もしかして酔わせる作戦ですか?」
「はは、バレたか。まぁ明日も休みだし、気兼ねなく飲めるな」
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