俺様課長と、デート② ※

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どういうことだろう? 「田沼さんには心無いことを言われ続けて、銀座では優劣をつけられて、小さな傷がどんどん重なっていく感じ。だからこれ以上傷つかないように、心にも休みが必要だったんだと思う」 「そっか、私、傷ついてたんだ……」 南さんとガス抜きをしながら『本日の田沼さん』なんて、ふざけていたけれど、本当は傷ついてた…。 確かに、ずっと辛かったな。 私は拓さんの腕の中で、静かに泣き始めていた。 拓さんは何も言わず、ただただ寄り添ってくれた。 ひとしきり泣いた後、再び拓さんに顔を向けた。 「拓さん、私、初めて会った時から拓さんのことが好きです」 「うん、俺も好き」 そう言って、拓さんから優しいキスが降ってきた。何度も触れるようなキスはまるで割れ物を優しく扱うようで。 時折、深く愛おしむような優しい視線とぶつかる。キスは少しずつ深いものに変わっていき、そのままパタンとソファに押し倒された。 「ごめん、今日我慢できそうにない」 「私も」 その言葉を合図に、拓さんの舌が口内に入り込んできた。私も拓さんと想いが通じ合ったことが嬉しくて、舌を絡ませながら応えていく。 拓さんの手が服の上から私の胸に触れた時、体がびくんっと小さく反応してしまった。 「胸、嫌?」 「いえ、その、身長が低いのに胸が大きくて……」 「触られるの、嫌じゃない?」 「はい、むしろ……拓さんには触ってもらいたいです」
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