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「私と南さんくらい関係性があって、軽いノリで『これインストにも載せたんだけど〜』って共有されるなら全然良いんですけど。
“田沼さんからパワハラを受けている”と認識している状態であれを言われると、『いいねの強要?またパワハラですか?』って思っちゃうんですよね。線引きが難しいですよね」
「パワハラはさ、受け手がそう認識したらもうパワハラだよね。あとそうだ、あの件も向原さんに言っておいた方がいいかなと思って……」
南さんは深刻な表情で、声を潜めた。こちらに顔を近づけてくる。
「この間さ、見ちゃったんだよね。田沼さん、向原さんのデスクに置いてあるノートとか勝手に全部読んでて」
「え!?本当ですか?? うわぁぁ全然気付かなかった……」
「最初は自分のノートを読んでるだけだと思ったんだけど、その後向原さんのデスクに戻してるのを見て、あの人勝手に読んでたのかって…
ごめん、私も田沼さんに注意できれば良かったんだけど」
「いえ、注意したとしても『部下の管理をして当然でしょう』とか言いそうですし、大丈夫です。いや〜それにしても、ノートに銀座のこととか、プライベートのメモも少し書いてあるんですよね。私としたことが……」
ちなみに銀座で働いていることを知っているのは、南さんだけだ。何をするにしても、いつも応援してくれる。本当の姉のように、私は南さんを慕っていた。
それにしても、田沼さんはそこまで私を監視していたなんて……。
「私思ったんだけど、田沼さんからの社内チャットは全部スクショ取っておいた方が良いと思うし、この日何を言われたとかも全部記録に残しておいた方が良いと思うんだよね。もしもの時のために」
「そうですよね、そろそろボイスレコーダー仕込んでおいた方が良いですかね。というか鞄の中身チェックも始まりそう……」
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