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ちょっと資料を置きにいくだけだったから、スマホも鞄も全て、オフィス内の自分の椅子の上に置いてある。
外に連絡する手段がなく、明日の朝、誰かが出社して鍵を開けるまで待つしかなかった。
(あぁ、なんか疲れたな。次の仕事決まってないけど、もう辞めたいなこの会社……。好きだった広告の仕事も嫌いになりそう)
突然お腹がグ〜〜ッと鳴る。こんな時でもお腹は空くのだ。お昼を食べてから何時間も経っているから当然だった。
空腹を紛らわす方法を考えたが思いつかず、座り込んだままウトウト眠り始めてしまった。
***
資料室に閉じ込められて、何時間が経ったのだろうか。
眠りが少し浅くなったタイミングで、突然扉がバーンッ!!と開いた。
「美月!!!!」
寝起きなこともあって、何度か目を瞬きさせていると、いつの間にかふわっとシトラスの香りに包まれた。
ぎゅっと抱きしめる腕は力強くて、すぐに拓さんだと気がついた。
「拓さん?」
「美月、遅くなって本当にごめん。大丈夫か?体調悪くないか?」
「はい、今って何時ですか?」
「ちょうど日付超えたくらい」
「そうなんですね、疲れて寝ちゃってて……拓さん?」
顔を覗き込むと、拓さんが今にも泣きそうな顔で私を見つめていて。
「美月が怪我とかしていないか、気が気じゃなかった……」
「ふふ、大丈夫ですよ。来てくれてありがとうございます」
その後は拓さんのマンションに移動して、軽くシャワーを浴びて、途中コンビニで買っておいたおにぎりを少しだけ食べた。
拓さんと一緒にベッドに入って、最近の体調の変化や今日の出来事について話した。
「突然涙が出たり、手首の皮が剥けたり……それ、全部ストレスだな」
「え、やっぱりそうですかね? 田沼さんに洗剤とか化粧品のせいじゃない?って言われたんですけど、明らかに変だなと」
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