体の異変と、上司の怒り

3/6
前へ
/165ページ
次へ
ちょっと資料を置きにいくだけだったから、スマホも鞄も全て、オフィス内の自分の椅子の上に置いてある。 外に連絡する手段がなく、明日の朝、誰かが出社して鍵を開けるまで待つしかなかった。 (あぁ、なんか疲れたな。次の仕事決まってないけど、もう辞めたいなこの会社……。好きだった広告の仕事も嫌いになりそう) 突然お腹がグ〜〜ッと鳴る。こんな時でもお腹は空くのだ。お昼を食べてから何時間も経っているから当然だった。 空腹を紛らわす方法を考えたが思いつかず、座り込んだままウトウト眠り始めてしまった。 *** 資料室に閉じ込められて、何時間が経ったのだろうか。 眠りが少し浅くなったタイミングで、突然扉がバーンッ!!と開いた。 「美月!!!!」 寝起きなこともあって、何度か目を瞬きさせていると、いつの間にかふわっとシトラスの香りに包まれた。 ぎゅっと抱きしめる腕は力強くて、すぐに拓さんだと気がついた。 「拓さん?」 「美月、遅くなって本当にごめん。大丈夫か?体調悪くないか?」 「はい、今って何時ですか?」 「ちょうど日付超えたくらい」 「そうなんですね、疲れて寝ちゃってて……拓さん?」 顔を覗き込むと、拓さんが今にも泣きそうな顔で私を見つめていて。 「美月が怪我とかしていないか、気が気じゃなかった……」 「ふふ、大丈夫ですよ。来てくれてありがとうございます」 その後は拓さんのマンションに移動して、軽くシャワーを浴びて、途中コンビニで買っておいたおにぎりを少しだけ食べた。 拓さんと一緒にベッドに入って、最近の体調の変化や今日の出来事について話した。 「突然涙が出たり、手首の皮が剥けたり……それ、全部ストレスだな」 「え、やっぱりそうですかね? 田沼さんに洗剤とか化粧品のせいじゃない?って言われたんですけど、明らかに変だなと」
/165ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6588人が本棚に入れています
本棚に追加